手作りガラスジュワー瓶

今野 滋(北海道東海大学非常勤講師 兼 北海道大学非常勤講師)

液体窒素で物が凍る様子を子どもたちに見せたい。しかし、ガラスのジュワー瓶は高価である。そこで、自作したしました。要は、内側の瓶が断熱されていて、霜がつかなければ良いだけだから、いろいろなやり方が考えられるでしょう。たまたま手許にあった瓶で作ってみました。写真の瓶は、2005年9月23日に札幌市青少年科学館で行われた科学の祭典札幌大会で使いました。

演示している様子

用意するもの

  1. ガラス瓶大(ハチミツの瓶)
  2. ガラス瓶小(コップ酒の 180ml コップ)
  3. マジック(細書き)
  4. 缶切り(100円ショップなどに売っている普通の缶切りで良い)
  5. プラダン(プラスチックでできた段ボール。ホームセンターで入手)
  6. 接着剤(ガラス、金属、硬質プラスチックが接着可能なもの)
  7. シリコンコーキング(ふろ等の水回りの防水に使われます。ホームセンターで入手)

つくりかた/つかいかた

※写真をクリックすると大きな写真が表示されます

  1. 大きい方の瓶(ハチミツの瓶)のふたに、マジックで、小さい方の瓶(コップ酒のコップ)の口を当てて、中心を合わせて円を描きます。
  2. 缶切りの歯を強く押し当てて、線に沿ってふたを切ります。力がいるので、ちびっ子は大人の人にやってもらってください。念のため手袋をした方が安全でしょう。
  3. プラダンに丸く穴をあけて、小さい方の瓶の首を通します。プラダンには若干の弾力性があるので、伸ばしてはめ込むことができます。きつすぎず、ゆるくもない、ぴったりのちょうど良い穴をあけてください。きつすぎると、使用中に割れてしまいます。ゆるいと、内側の瓶の固定が甘かったり、使用中に外の空気が入りやすくなってしまいます。
  4. プラダンを外側のの瓶のふたと同じ大きさに切ります。外側の瓶のふたをはめて切ると上手に切れます。2つの円の中心がずれないよう、外側のふたの一部が内側の瓶に触れないよう、位置を慎重に見きわめながら切ってください。切ったら接着剤でしっかりくっつけます。接着剤はたっぷり使い、隙間ができないようにしてください。この写真にある接着剤は、両面に塗って半ば乾いてから圧着するタイプです。
  5. 接着剤が充分乾いてから、シリコンコーキング剤で、隙間をくまなく埋めます。 プラダンの穴の入り口、接着面の外側、内側の瓶とプラダンの間など、よく見ながら充填します。 液体窒素を入れると、瓶と瓶の間の空間は気圧が外の半分ぐらいになりますから、少しでも隙間があると、外の空気が入り込んでしまい、内側の瓶に霜がついてしまいます。 ただし、不要な部分に塗りすぎると、断熱効果が弱くなり、失敗します。プラダンの穴の中にたくさん入れたり、プラダンの上に厚く塗ったり、しないように、気をつけてください。
  6. 内側の瓶の外側と、外側の瓶の内側を、アルコールでよく拭きます。アルコールを少量たらして気化させ、乾燥剤を入れてふたをかたく閉めます。なお、乾燥剤に使用済みシリカゲルを使う場合は、電子レンジで十分に水分を抜いてから使ってください。(アルコールは水の融点を下げるとともに、それ自体は低温で飴状に固まるので、内側の瓶の曇りを防ぐおまじないになります。入れすぎないよう注意)
  7. 液体窒素を入れるのは、コーキング剤が十分に固まってからにしてください。完全に固まるまでには1日かかります。少なくとも6時間以上置いてください。また、ふたを閉めてから、中の空気が十分に乾燥するまで時間がかります。これもできれば6時間以上置くのが望ましいです。液体窒素を入れて、しばらくすると、泡がほとんど出なくなりますから、そこにまた液体窒素を足して使ってください。使用中は低温によりプラダンとコーキング剤がとてももろくなっていますので、衝撃を加えたり、内側の瓶に力を加えたり、しないように気をつけてください。

補足

長時間使っていると、外側の瓶も冷えてきて、霜がつくようになります。あまり長い時間の使用には適さないようです。

使用中、プラダンにひびが入ると、外の空気が入り込んで、内側の瓶が曇りだします。

運ぶときには、なるべく瓶を横にしないようにしてください。

開封したコーキング剤は、長期間保存する事がむずかしいです。さっさと何かに使ってしまいましょう。

注意

液体窒素を扱う際には、なるべく専用の革手袋をしてください。実際には素手でも扱えますが、子どもたちに対して大げさに注意を促す効果もあります。もちろん、不注意で低温の金属部分等に素手が触ると、くっついてしまい、とても痛い目に遭います。

マシュマロを冷やして配る場合には、中にジャムの入っていないマシュマロを選んで購入してください。

つぶやき

最初に作ったときには、低温で圧力が下がるために、乾燥剤から逆に水が出てくるのではないかと、心配でした。また、コップ酒のガラスが液体窒素で割れやしないかと、心配でした。しかし、どちらもとりこし苦労だったようです。まずはやってみるもんです。

意外にも瓶と瓶の間は真空にしなければならないと思ていた人が多いのがおもしろかったです。

リンク

よろしければ、下記サイトも参考にしてみてください。Web検索で上位にあった記事です。

斎藤の部屋(理科) Home Page > 液体窒素の実験
http://asaitou-web.hp.infoseek.co.jp/r19/991108/000.html
ビーカーを使った方法。授業での実践例。

ジュワー瓶 ガラスプラント・ドットコム
http://www.theglassplant.com/search/japanese/search.php?mode=view&code=1328
市販のガラスジュワー瓶の価格などの参考にしてください。

版権

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