1、光の速さ

部屋と電球の絵

 電球のスイッチを入れると、電球から出た光は一瞬で部屋の中を明るくします。 しかし、じつは、電球から出た光が部屋の壁にとどくまでには時間がかかります。 電球から壁までの距離が3m だとすると、電球から出た光が壁にとどくまでの時間は、 1億分の1秒です。 この時間は、「1秒」の長さを「10年間」に引き延ばしたとしたときに、やっと3秒間程の時間に延ばされるという短さです。ほんの一瞬のようですが、宇宙のように距離が大きい場合や、 とっても動きの速いモノに対しては直接に関係してきます。

 そもそも、光って何でしょうか?ニュートンは粒子だと云い、ホイヘンスは波が伝わってくるものだと主張しました。 この論争は長く続きましたが、現在の科学では両方の性質を併せ持っていることが知られています。 じつは(とても乱暴な表現ですが)「光」はほとんど全ての物体の間に働く「力」を伝える役割を担っています。 つまり、物体を押したり引いたり、分子がバラバラにならないように、 つなぎ止めたりするための、仲立ち役として活躍しております。 そのため、光が伝わることに速さがあるかないかは、 われわれの世界の在り様そのものに影響を与える重大事です。 たとえば、光よりも速い速度で物体を押したり引いたりしょうとしたとしても、 力の作用がその速さについてこられないので、 光の速さを超えるようなロケットを造ることはできません。さらに、 時計やモノサシを作っている物質自体も、例外なく、この法則に支配されているので、 時間や空間といった概念にまで影響がおよびます。

 一方、真空中の光の速さは、光源の速さや、観測者の速さに関係なく一定だという事実もあります。 その結果として、光の速さに近づくと日常では経験できないような奇妙なことが起こります。 たとえば、光の速さの60%のスピードで宇宙船がすれ違うとしましょう。 すると、相手の宇宙船の中の時計の進み方が、自分の時計の進み方の80%の速さに遅くなります。 また、相手の宇宙船の長さが、止まっているときよりも、80%の長さに縮みます(ローレンツ収縮)。 しかも、相手の宇宙船にモノをぶつけて、 動きにくさを測ると、止まっているときよりも、25%だけ重くなっている事が判ります。

 さらに、光の性質について追求していくと、質量の存在がエネルギーを伴うことが予言され、今日の原子力の理論の基礎に一役買ったのでした。

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